法定相続情報証明制度について

法定相続情報証明制度について

2017(平成29)年5月から全国の法務局において各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まり、すでに2年以上が経過しました。

当初は利用可能な機関や手続きが思ったよりも少なく、なかなか制度の設立趣旨通りの利便性を発揮しているとは言いづらいものがありましたが、この2年の間に利用可能な機関・手続きが増え、大分利用するメリットのあるものになってきたように思われます。

今回はこの「法定相続情報証明制度」について説明していきます。
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遺留分の放棄について

遺留分の放棄

相続トラブルを予め防止するための方策として「遺留分の放棄」というものがあります。

ただこの遺留分の放棄というのは一般の方には「相続放棄」との区別がつきにくかったり、いろいろと難しい要素がたくさんあります。

そこでここでは相続トラブル防止に役立つ遺留分の放棄について説明していきます。

まずは遺留分のおさらいから

遺留分についてはこのページで説明していますが、簡単におさらいしておきます。

遺留分とは法定相続人に一定割合の相続財産の相続を保障したものです。
基本的に被相続人は遺言を作成して自分の思うような相続財産の分配をすることができますが、それでは相続財産を全く受け取ることができない相続人が生活できなくなってしまうことも考えられます。
そこで相続人に一定割合の相続財産の相続を保証し、相続人の生活の保護と被相続人の意思の調和を図ったのがこの制度です。

遺留分は通常は相続財産の1/2、相続人が被相続人の直系尊属(父母等)のみの場合は相続財産の1/3になります。
兄弟姉妹については遺留分はありません

つまり通常の場合は「本来の相続分の半分くらいは残してあげなさい」ということになるわけです。これが遺留分です。

遺留分があると何ができるのか

遺留分が機能するのは遺留分を侵害された場面です。

遺留分の侵害は主に遺言書によって遺留分を侵害する内容の遺言(他の相続人の相続分ないし、遺贈によって本来の相続分はおろか遺留分よりも少ない相続財産しか受け取れなくなっている遺言。「財産すべてを寄付する」など)がなされている場合について、遺留分を侵害して遺贈等を受け取った相手に対し「遺留分に当たる金銭をこちらに渡しなさい」と請求することができます。これを遺留分侵害額請求旧:遺留分減殺請求)といいます。

つまり遺言者(被相続人)は特定の相続人に対し遺留分を下回る遺言書を作成することはできるが、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求でそれに対抗することができるというわけです。

例え遺留分を侵害された場合でも、遺留分減殺請求を行うか行わないかは相続人の自由です。
ただし、遺留分侵害額請求行使には期限があることには注意が必要です。

遺留分の放棄とは

遺留分の放棄とは文字通り、この遺留分を放棄することです。もともと遺留分のない兄弟姉妹には関係はありません。
遺留分の放棄を行うと遺留分侵害額請求ができなくなり、遺言者(被相続人)は遺留分を気にすることなく安心して
遺言内容を決定したり、生前贈与を行ったりと財産の処分を行うことができるようになります。

相続放棄との違いは

このように遺留分の放棄とは、実際には遺留分侵害額請求旧:遺留分減殺請求)の放棄であるといえ、相続放棄とはまったく意味が異なります。

そもそも論として、遺留分を放棄しても相続人であることに何ら変わりありません

相続放棄を行うと初めから相続人でなかったことになり、相続権自体を失いますので何も相続することはできませんし、遺産分割協議にももちろん参加できません。

しかし遺留分を放棄しても遺留分がないだけで相続人であることに何ら変わりありませんので遺産を相続することも遺産分割協議に参加することももちろん可能です。

相続財産が債務の方が多い場合、相続放棄をした場合は相続人ではなくなりますので相続債務を負う可能性はありませんが、遺留分を放棄しても相続人であることに変わりありませんので相続債務を負う可能性も残ります。

何より同じ「放棄」とついてもその目的や内容が大きく異なります。相続放棄はその性質から被相続人の生前に行うことはできませんが、遺留分の放棄は厳格な手続きにはなりますが、生前に行うことができます

遺留分の放棄が他の相続人に与える影響

相続放棄した相続人がいる場合は他の相続人の相続分が増えることになりますが、遺留分の放棄をした相続人がいても他の相続人には何の影響もなく、他の相続人の遺留分が増えるといったようなことはありません

遺留分の放棄の効果はあくまでも遺留分侵害額請求をされないということにとどまります。

遺留分の放棄はどういった場合に行うものなのか

ここまでで遺留分の放棄を行う主な目的は被相続人が自由に処分できる財産を増やすことにあることを説明してきました。
では放棄させられる側にはどのようなメリットがあって、実際にはどのような場合に遺留分の放棄は利用されているのでしょうか。

生前に遺留分の放棄を行う場合、家庭裁判所の許可が必要になりますが、まずは家庭裁判所の許可基準を見ていきましょう。
なお、遺留分の放棄の方法は生前と相続発生後で異なりますが、ここでの説明は生前の場合についてです。

家庭裁判所の判断基準

生前の遺留分の放棄は権利に関する重大な決定になりますので家庭裁判所が厳格な基準で判断することになります。

遺留分の放棄が本人の自由意志に基づくものであること

真に本人のみの意思に基づいて放棄を希望しているかどうかといった点が審理されることになります。
理由は簡単です。親族その他、他の権利者や受遺者になる可能性高い者などいろいろな人物の強制によることが考えられるからです。

本人にとって一方的に不利益な状況での申し立てに見える場合には自由意志についても疑問とされ、放棄が却下される可能性が高くなることも考えられます。

遺留分放棄に合理的な理由と必要性があること

遺留分放棄は重大な決定ですのでその必要があることを説明する必要があります。

なお、理由とは放棄を行う相続人側からの理由です。放棄してもらいたい側(被相続人、他の権利者)からの理由ではありません。

遺留分放棄に相応の代償を得ていると言えるか

遺留分放棄する人が特別受益を受けているなど既に相応の代償を得ているかということも判断材料になります。

遺留分の放棄の利用が検討されるケースは

まず典型的とされるのが相続が事業承継につながるケースです。
多くの場合事業を承継した相続人に相続財産が集中することになりますが、遺留分減殺請求を受けて事業用にしている財産に問題が発生して事業継続に支障が生じるのを避けるためです。

ただ、このケースについては遺留分放棄を利用しなくても先の相続法の改正でかなり解決されてきているといえます。
改正前は上記の通り遺留分減殺請求という請求を受けて強制的に相続財産が共有になることがありえましたが、改正後は遺留分減殺請求は遺留分侵害請求という金銭の支払いを求めることができる権利に変わりました

また、改正法では遺留分を計算する基礎財産に含める贈与について相続開始前の10年間の贈与に限定しているのでそれよりも前に事業用の財産(株式含む)を贈与しておくことで対策を立てることができるようになりました。
ですのでこのケースでの遺留分の放棄の利用は今後減少していくと思われます。

他に考えられるケースとしては、財産のほとんどを寄付したいと考えているケースや相続人中に多くの財産を残す必要のある相続人があるケース、相続財産が価額の変動が大きいものであるケースなどが考えられます。

ここで先の遺留分の放棄の家庭裁判所の基準を思い出していただきたいのですが、要は放棄する人の自由意思でちゃんと理由もあってその分の対価もきちんと支払われていれば、ということでしたね。

被相続人の生前であれば被相続人自身が事情を説明して説得を行うことができますし(もちろん不当な圧力は論外です)、生前であれば自由に財産を動かすことができるので、その時点において十分といえる見返りを渡すことも可能です。

遺留分の放棄の利用は上記のような事情がある場合について、被相続人の生前にこのような条件が揃っている場合に行われることが多いと言えます。

遺留分の放棄の撤回は難しい

遺留分の放棄を行うとその撤回や取り消しは原則としてできないといわれています。

なぜなら家庭裁判所の判断は許可後に翻意をする可能性があるか否かも含めて検討を行った上でのものであり、放棄を認めた場合はその撤回を認めるに足りる合理的な理由を提示する必要があり、合理的な理由という以上、単なる感情的なものではなく、遺留分の放棄を行う重要な前提条件に変更があったなどのものが必要と言われています。

相続財産管理人について

相続財産管理人について

前回相続人がいない場合について説明しましたが、その際に「相続財産管理人」という名前が出てきました。

この相続財産管理人とはどのような時に必要となり、どのようなことをする人なのでしょうか。

今回は相続財産管理人についての説明です。
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相続人がいない(相続人不存在)場合はどうなるのか

相続人がいない?

最近、以前と比較して相続人となる人がまったくいない場合が増えていると言われています。

一つには生涯独身率の上昇、家族間の関係の希薄化など、一人暮らしの高齢者の増加等に理由であるようですが、相続についての情報が以前よりもいろいろな形で入ってくるようになり、結果相続放棄なども増えたことなどにも理由がありそうです。

それでは相続人がいない場合はどうなるのでしょうか。今回は相続人不存在時の説明です。
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相続分なきことの証明(特別受益証明)について

相続分なきことの証明(特別受益証明)

不動産にせよ、金融資産にせよ、相続手続きを行う場合に作成する書類と言えば遺産分割協議書です。
しかし最近では大分少なくなったものの、不動産の相続登記の時に使用されている遺産分割協議書以外の書類があります。
それが相続分なきことの証明(特別受益証明)です。
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改正相続法の解説 遺留分制度に関して

平成30年7月13日改正相続法公布

平成30年7月13日、改正相続法が公布されました。前回に引き続き、改正相続法について解説します。
改正について詳しくはこちらをご覧ください。

改正までの遺留分制度は以下のページの通りでした。

http://souzoku-anshin.com/souzoku/share03.html

今回の遺留分制度に関する改正は、主に上記ページの下の方に記載されている遺留分減殺請求についてのものです。
それでは今回の改正でいままでの遺留分制度(主に遺留分減殺請求)がどう変わるのか見ていきましょう。
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事業承継のM&A?

事業承継にM&A利用?

事業承継とは会社などの事業について後継者に継がせる事ですが、従来は親族、特に子供の誰かに継がせることが多く、次いで社内の人物の誰かを後継者にする…といったようなものでした。

ところが近年この流れに異変が起きています。高齢化や核家族化などで親族の後継者のなり手がなく、一方で中小企業では代表者個人の能力や信用による経営が多く、一方で若年層の大企業志向も強く。高齢になった代表者の後継にふさわしいなり手が見つからないなど従来のやり方では事業の継続が難しいケースが多々生まれてきているとのことです。

しかし、後継者のいない中小企業が次々と閉鎖されていくことは経済の悪化を招きかねません。
そこで事業承継の手段の一つとして昨今注目を集めている(と言われているらしい)のがM&Aです。
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死後事務委任契約について

死後事務委任契約

前回、家族信託について説明しましたが、自身の死亡後についての備えの一つの手段として死後事務委任契約というものがあります。

家族信託同様あまりなじみのない言葉だと思いますが、死後事務委任契約は子供などがいない場合、あるいは法律婚を選択しなかった場合などに有力な選択肢の一つとなるかもしれないものです。

今回はこの死後事務委任契約の説明です。
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家族信託とは

家族信託について

「家族信託」とは何でしょうか。ほとんどの方は聞きなれない言葉だと思います。
「家族信託」とは簡単に言えば家族に財産を信託するしくみのことです。これだけではよく意味が分からないかもしれませんが、どういうときに利用されるものかと言えば、認知症や事故病気等により判断能力が低下した時の財産の管理や遺言の代用として利用が検討されているものです。

今回はこの「家族信託」についての説明です。
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アパート、賃貸マンションの相続のポイント

アパート、賃貸マンションの相続

総論

相続財産中にアパート、賃貸マンション等がある場合、相続手続きに通常と違う要素が多数入ってきます。
アパート、賃貸マンションを相続財産としてどのように評価するかの問題、賃貸事業を引き継ぐかの問題、相続税やローンの問題…などです。事業を引き継ぐ場合はここからさらにいろいろなことが必要になります。

今回はアパート、賃貸マンションを相続した時の手続きや注意すべきポイントについて説明していきます。
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