今年の錦織を振り返る

今年の錦織を振り返る

前回の続きで引き続き今年の錦織を振り返る。

多くの人は全仏以降、特に全米あたりから錦織の「変調(らしきもの)」が始まったように受け止めているようだが、前回も書いたように僕の意見は違う。

年初のブリスベンでの違和感については先述のとおりだが、全豪、前半戦のマスターズ等ですでに錦織のメンタル面での問題は、ある程度表面化してきていたと思う。

前半戦の好成績を挙げて「前半戦は好調だった」、とみる向きが多いようだが、僕個人の見解としては全豪および全仏の好成績は組み合わせ等による部分が少なくなかったと思っている。
全豪時に好調だったとみる理由はフェレールに完勝したこともあるだろうが、あの時のフェレールは故障を抱えているうえにプレースタイルを模索している感じで、決して良い状態ではなかった。実際好調且つ錦織対策をしてきたバブリンカには完敗を喫している。

一方マスターズに目を向けると、昨年準優勝したマドリードとモントリオール以外では、「期待外れ」と言われても仕方のないような成績しか残せなかった。しかもそのどちらでも苦手のマレーに完敗、モントリオールではぐうの音も出ないレベルで敗れ、一部では途中からの無気力に見える試合っぷりに、(怪我でなく)仮病説まで出るありさまだった。

それ以外のマスターズについては序盤の大会が既に今期の錦織を象徴していた、と今では思う。シーズン序盤のマスターズ2大会ではいずれも早いラウンドでビッグサーバーに完敗した。好調のビッグサーバーという厄介な相手だったとはいえ、何かあまりにもなすすべがなかったかのように負けたのが見ていてとても印象に残っていた。

話をグランドスラムに戻すが、全仏についても過去最高の成績であったこと、劣勢だったツォンガ戦もフルセットまで盛り返したことなどから良かったと評価する向きもあるが、ここでも僕は組み合わせの恩恵が少なくなかったと思っている。
内容が一番それを証明していたと思う。ツォンガ戦の序盤は酷い試合だった。以前書いたように、確かに錦織は試合に入り切れていない感じで淡白に負けることは過去も何度もあった。だが今回のそれは明らかに今までとは異質なものだった。

まるでパニックを起こしているかのような感じで完全に自分を見失っているように見えた。僕もあんな錦織の姿を見た記憶がなかった。あの試合の中断までの内容はツォンガもかなり酷く、上位選手同士の対戦にはとても見えるものではなかった。
中断からの再開後、両者ともにプレー内容が良くなり良い試合になったが、あの予期せぬ中断がなければ錦織にとってのワーストの試合となっていただろうし、全仏でもワーストに数えられる試合になっていたかもしれない。

(つづく)

タグ

トラックバック&コメント

この記事のトラックバックURL:

まだトラックバック、コメントがありません。

コメントを投稿する




»
«