今年の錦織を振り返る

今年の錦織を振り返る

前回の続きで引き続き今年の錦織を振り返る。

トータルで見ると、錦織のテニス自体は昨年よりもかなり進化していたと思う。
他の選手の対錦織の研究・対策はかなり進んでいたが、錦織自身もテニスそのものはそれに対抗し得るものにしていっていたと思う。
実際今年も結果自体はかなりのものを残している。

だが前回まで書いたように、やはりメンタル面の何らかの問題が今年1年の錦織に影を落としていたように思う。

ぼくにはどうも昨年の全米決勝での敗戦と、最終戦の対ジョコビッチの敗戦、特にジョコビッチ戦のファイナルセットが錦織のメンタルに尾を引いているように思えてならない。

今年の錦織についてよく指摘されるのが「勝負弱さ」である。
重要なポイントほど取りこぼす、内容で圧倒していながら敗戦、あるいは大苦戦する・・・などがよく言われるところである。
錦織はもともと勝負強い、僕から言わせればメンタルもかなり強い選手だけに余計にそれが際立って見えるのかもしれないとも考えられる。それに今年はトップ選手としてシードを守らないといけない立場である。そのプレッシャーは相当なものだろう。

が、なにかそれだけではしっくりこないのである。
僕が感じる今年の錦織の印象は、「勝負弱さ」もあるが、「大舞台にとにかく弱かった」というところである。

「全豪と全仏では結果を残したではないか?」という声が聞こえてきそうだが、前回も書いたようにあれは組み合わせによるところが大きかったし、敗戦時の内容がそれを表していた。ウィンブルドンと全米の惨憺たる成績は誰もがしるところだし、マスターズではほとんど良いところがなかったのは前回書いた通りである。

ATP500の大会はシーズン序盤に複数取ったが、連覇がかかり、地元という他にはないプレッシャーがかかった楽天では全米と同じペールに敗れた。以前の大舞台での強さから考えると、やはり何かおかしいように思えるのである。

全米楽天でのペール連敗にパリでのガスケ戦、そして勝負弱さに定評のあるアンダーソンに競り負けた試合に最終戦でのフェデラー戦と今年の錦織を象徴する試合はいくつもあるが、僕はシーズン中盤のポイントとして、ウィンブルドン前哨戦でのヤノヴィッツ戦を挙げる。
この試合で錦織は第二セット中盤まで優位に試合を運んでいたが、強打が入り始め、勢いがついてきたヤノヴィッツに不運なポイントから巻き返され、流れを止めることができずにファイナルセットに持ち込まれた試合だった。
最終的に勝利することはできたが次の試合にもウィンブルドンにも影響が残り、結果として高くつくことになった試合だった。

この試合の第二セット終盤、錦織は勢いのついてきた相手に対し、とにかくミスを待つような消極的なテニスに終始した。
確かにヤノヴィッツはミスの多い選手だし、守るテニスが戦略上必要な時間帯は存在する。
が、ここでは明らかに選択ミスだった。それ以上に錦織のテニス自体が「守るテニス」というよりも「消極的なテニス」としか言えないようなテニスだった。結局のところこの試合でもペール相手の連敗でも、相手の勢いを消極的なテニスでしのぎ切ろうとした挙げ句、止められずに状況を悪くする繰り返しだった。

もし僕が考えている通りに何かメンタル的な問題があるとすれば改善するのは容易なことではないだろう。
来シーズンの錦織がどんな姿を見せてくれるのか、少々心配に思っている。

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