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全仏への期待と不安

マドリードのマスターズが終了し、ローマを経ていよいよ2つ目のグランドスラム、全仏オープンがスタートする。
錦織は今のところクレーシーズンでバルセロナ優勝、マドリード4強進出と、昨年ほどではないものの、まずますの成績を残している。

今年は全体的にはジョコビッチが調子をキープして他よりも頭一つ抜けていると言える状態で、一方クレーでは無双だったナダルは不安定な戦いぶりが目立ち、衰えが指摘されるようになっている。そのため全仏の予想も今までのようなナダル一辺倒ではなく、ナダルとジョコビッチが拮抗しているような状態であるようだ。

そんな中、2年連続でクレーシーズンで好成績を残している錦織も、優勝候補の一角(それほどオッズが良いわけではないが)に挙げられているようである。プロになりたての時は予選からの参加となり、予選でドイツのグロイルに敗れて本戦参加が叶わなかったことを覚えている身としては、隔世の感がある。ただ成績や試合内容を見ると優勝候補の一角であることは当然だと思うけれど、期待感と共にかなり不安なところもある。

期待できるところとしてはまず第一に、身体的に完成されてきたところだろう。多くの解説者も言う通り、フィジカル面の充実と共にこれまで常について回ったと言ってよい怪我の話題があまり聞こえてこなくなった(現在も股関節は万全ではないらしいが)が、今までの錦織から考えると、これほどの朗報はないと言ってよいくらいである。
第二に今のスタイルがほぼ完成に近づきつつあること、第三に(前よりは)サーブが改善されたことである。

一方で不安要因としてまず第一に、急速に錦織に対する相手の研究が進んでいることである。
上位選手となった宿命だが今までより確実に他の陣営のマークがきつく、研究されている。それは2つの面で現れていて、マドリードでは特にそれが顕著にあらわれていた。

一つは錦織のプレースタイルの他選手による取り込みである。松岡さん曰く「圭にしかできないテニス」であるが、他の選手も取り入れられる範囲でどんどん取り入れて自分のテニスを進化させていた。マイアミでも対戦したゴファンは今回かなり進歩していて錦織を逆に追い詰めていたし、マレーにもそれは言えるだろう。

もう一つは弱点の分析である。昨年終盤あたりから錦織の特徴の一つであるリターンでのポイント獲得率が低下しているが、これはサーブにおいて「錦織対策」と呼べるものが浸透しつつあるからだろう。またマドリードで気になったのが、以前はそれほどでもなかった相手のバックハンドのダウンザラインのカウンターにやられるシーンがかなり増加したことだ。やられ方も問題で、完全に逆を突かれてほとんど棒立ちになっているシーンが多々あった。負けたマレー戦はもちろん、ゴファンにもアグーにも同様にかなりやられていた。配球を読まれているのか動きの癖を読まれているのかはわからないが、本番に向けて気になる点である。

第二に戦術が硬直化していると思える点である。これは主にコーチなどの陣営全体の問題だと言えるが、今シーズンは負け方の悪い負け試合が目立つのだ。個人的に最も問題だと思ったのがマイアミのイズナー戦での敗北だ。

この試合の敗戦後、錦織は珍しく「あんな状態の相手に当たって不運だ」みたいなことをぼやいていた。確かにあの試合のイズナーは「1年に一回の大当たり」みたいな絶好調だった。絶好調で強打の入りまくるビッグサーバーは極めて厄介で、4強といえども負けることがあるのは確かである。

ただ、この試合をちゃんと見ていた人ならわかると思うが、錦織の方もサーブにしろリターンにしろあまりにも工夫が乏しかった(具体的なところはそのうち別に書きます)。正直陣営はイズナーをちゃんと研究していたのか、どこか舐めていたのではないかという気がしていた。実際イズナーの調子が錦織戦ほどではなかったとはいえ、ジョコビッチはきっちり「好調時のイズナー対策」をして勝っているし「対策」の部分は錦織にもできないものではなかった。
またマレー戦も戦術的な疑問が残った、というより明らかにマレー陣営の方がちゃんと錦織について研究してそれを実践していた。全仏本番はチャンが陣営についてくれるからこうした面は改善されると信じたい。

結構不安について延々と書いてしまったが、それは期待の裏返しである。
本番での錦織の快進撃を楽しみにしておきたい。

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