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相続人がいない(相続人不存在)場合はどうなるのか

相続人がいない?

最近、以前と比較して相続人となる人がまったくいない場合が増えていると言われています。

一つには生涯独身率の上昇、家族間の関係の希薄化など、一人暮らしの高齢者の増加等に理由であるようですが、相続についての情報が以前よりもいろいろな形で入ってくるようになり、結果相続放棄なども増えたことなどにも理由がありそうです。

それでは相続人がいない場合はどうなるのでしょうか。今回は相続人不存在時の説明です。

相続人不存在

上記のような相続人となる人がまったくいない場合を「相続人不存在」といいますが、これには相続人となるべき人がすでに亡くなっていたりなど、そもそも戸籍上相続人となる人がまったくいない場合と、戸籍上は相続人となるべき人は存在するが、その全員が相続放棄をしていたり、あるいは相続欠格や推定相続人の廃除によって相続資格を失っている場合があります。

民法第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。(以下略)

民法第892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

相続欠格や推定相続人の廃除についてはこちらをご確認ください。

相続欠格・相続人の廃除 | 京都の相続・遺言
『京都の相続・遺言』内の『相続の基礎これだけは』では相続の基礎知識とその手続きについて解説しています。その中の「相続欠格・相続人の廃除」のページです

相続人不存在となるのはどのような場合か

相続人不存在となる場合について詳しくみていきましょう。

戸籍上相続人となる人がいない場合

まず戸籍上相続人となる人がいないというケースですが、これは未婚あるいは死別・離婚で配偶者も子供もいない、というだけでは相続人不存在とはなりません。

配偶者も子供もいない場合であっても直系尊属(父母、父母が亡くなっている場合は祖父母)が相続人になり、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は代襲で甥姪)がいれば兄弟姉妹が相続人になります。

当然ですが、往来がないとか実質的に勘当しているとかでは次に説明する相続欠格や推定相続人の廃除に当たる場合でなければ相続人がないことにはなりません。

また、配偶者・子供・兄弟姉妹については最初からいない場合も先に死亡した場合もありますが、死亡の場合は上記の通り代襲して相続人がいないことにならない場合もあります。

なお、勘当や往来がないレベルではなく、行方不明の場合はどうなんだということも言われますが、この場合も相続人不存在にならないことは押さえておいてください。

相続人が相続放棄をしたり、相続欠格や推定相続人の廃除で相続資格を失っている場合

戸籍上は相続人となるべき人は存在するが、相続人不存在となる代表的なケースが全員が相続放棄をした場合です。

この場合も注意すべきなのは第一順位である子と配偶者が相続放棄しても次の順位の相続人に相続権が移っていくだけで相続人不存在とはならないことです。

現実的には直系尊属は被相続人より先に死亡している場合の方が多いと思われますので兄弟姉妹(甥姪)が相続することになる場合が多いと思われますが、その場合、兄弟姉妹(甥姪)が最初からいない、あるいは全員死亡しているか全員が相続放棄をしないかぎり相続人不存在とはなりません。

相続人が相続放棄した場合以外に相続欠格や推定相続人の廃除で相続資格を失っている相続人がいる結果、相続人不存在となる場合もありますが、相続欠格や推定相続人の廃除自体がかなりレアケースですので実際にはあまりないと思われます。

相続人不存在時の相続財産はどうなるのか

上記のような場合に相続人不存在となりますが、その場合相続財産はどうなるのでしょうか。

なお、相続人不存在時の相続手続きは相続財産管理人の選任からかなりいろいろあるのですが、ここではその説明は省きます(いずれ別のところで記載します)。

全員が相続放棄したような場合はプラスよりもマイナスの方が多いという場合でしょうから財産の分配というよりは残務処理的な意味合いの方が強くなるでしょう。

まず債権者・受遺者への支払に使用される

相続人不存在時の相続財産は、まず債権者受遺者に支払われることになります。

債権者というのはわかりやすい例では被相続人がお金を借りていた人などです。まずは借りていたお金や支払わないといけなかったお金をきちんと支払いましょうということですね。

受遺者というのは遺言で贈与を受けた人です。これは被相続人の意思通り遺言を実行するということですね。

特別縁故者への相続財産分与

債権者や受遺者がいない場合や、いる場合であっても支払いした上でまだ相続財産がある場合、特別縁故者が残った相続財産を受け取ることのできる場合があります。

特別縁故者とは
  1. 被相続人と同一生計にあった人(内縁の妻や夫、事実上の養子・養親など)
  2. 被相続人の療養看護に努めた人
  3. 1と2に準じて特別の縁故があった人
  4. に当てはまる人のことですが、上で「場合がある」としたのはこれに当てはまれば必ず残った相続財産を受け取ることができるというわけではなく、家庭裁判所に特別縁故者として認められた場合に受け取ることができるからです。
    また、「いくら受け取れるか」も家庭裁判所の決定によります

    特別縁故者に相続財産を分与してもなお残った場合は相続財産管理人によって国庫に納められる、つまり国のものになります。

    相続人がいない場合の備えの重要性

    相続人不存在時の相続財産は上記のようになります。
    ここでわかるのは、生前にお世話になった方や内縁関係の方がいたとしても基本的にはその人のところには財産はいかない(特別縁故者として認められるのにはかなり面倒な手続きが必要で、なおかつ確実に受け取れるわけではありません)ということです。

    最近の法改正で寄与分の改正などがありましたが、親族限定の話であり特別縁故者に当たる方について改正があったわけではありません。

    生前にお世話になった方や内縁関係の方に相続財産を渡したい場合はやはり遺言書を作成しておくことが必要な状況は変わっていないと言えます。

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