親子の間だけでなく、夫婦・兄弟姉妹その他親族でのお金の貸し借りは珍しいことではありません。
このような親族間の金銭貸借の特徴として
1. 貸借の期間や利息などについてしっかりとした取り決めがない
2. 借用書などの証拠となる書類が残されていない
3. 貸借にかかる金銭の額の幅がひろい
などがあります。
これらの親族での金銭貸借が、相続発生時におもわぬ影響を及ぼすことは実は結構あるのです。
なぜそのようなことが起きるのかというと、まず親族での金銭貸借の特徴から、これらの金銭貸借が推定相続人に対する贈与とみられる場合(贈与税の特例などと関連する話はとりあえずここではおいておきます)があることです。贈与であれば特別受益が問題になります。
また、贈与ではなく金銭消費貸借(いわゆる通常の借金)である場合は、被相続人の持つ金銭債権ですので、相続財産となります。
この場合は上記1と2がネックとなり、債権額の特定が困難になります。
つまりどちらの場合であっても、相続発生時の遺産分割における紛争の火種になってしまうのです。
小額のやり取りはともかく、かなりの高額に及ぶ場合もあり、後の遺産分割協議での紛争をなるべく避けるため、1と2についてはきちんと対応をしておくことをお勧めします。この部分を曖昧にしておくことにももちろん理由はあるのでしょうが、後に紛争が起きてはなにもなりません。
